ここ数年、少子化対策についての議論がさらに加速している中、子育てをするか否か、まさに今自分たちの人生を考える岐路に立っているという方も少なくないことと思います。
最近では「選択的子なし」という考え方も普及しつつあり、人生の選択がまさに多様化している現代ですが、子育て世帯と子なし世帯は今現在どのくらいの割合を占めているのでしょうか?
そこで今回は、子育て世帯と子なし世帯の割合を最新情報からまとめてみました。
子育て世帯と子なし世帯の割合は?
児童のいる世帯、夫婦のみの世帯の割合を厚生労働省「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況」の結果をもとに表にまとめてみました。
(2023年5月現在、調査した中で最新の情報でした。)
児童のいる世帯 | 20.7% |
夫婦のみの世帯 | 24.5% |
単独世帯 | 29.5% |
こうして見てみると単独世帯が29.5%と最も多く、児童のいる子育て世帯が20.7%と最も少ないことがわかります。
国立社会保障・人口問題研究所によれば、2040年には約4割が単身世帯となると推計されているそうです。
1986年には児童のいる世帯が全世帯の46.2%を占めていましたが、35年の間に半分以下にまで減少していることがわかりました。
数値にしてみると少子化の深刻具合がより分かりますね。
出典:厚生労働省「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況」
また、夫婦のみの世帯が24.5%と、児童のいる世帯を超える結果となっているのも驚きですね。
ただし、夫婦のみ世帯は子育てを終えた夫婦の世帯も含んだ数字となっているので、夫婦のみの世帯=子なし夫婦の世帯とはカウントできませんので、厳密な数値は出ていません。
別のデータも見てみました。
OECD(経済協力開発機構)による「世界各国のチャイルドレス(生涯無子率)」(2020年)という統計データによると、「50歳の時点で子供がいない女性」=「生涯にわたって子供を持たない女性」とすると、その割合が日本は27.0%であるということがわかりました。
これは先進国で最も高い数値だそうです。
こちらも50歳の時点で子供がいない女性には未婚の女性も含まれるため、子なし夫婦の数字として厳密には比較できませんが、参考までに。
いずれにしても、今回の結果から全世帯における子育て世帯の割合が減少傾向にあるという現状は読み取れるでしょう。
子育て世帯が減少している原因は何?
35年前は全世帯の46%ほども占めていた子育て世帯が半分以下にまで減少してしまった要因は何なのでしょうか。
まず一つ目に、結婚や出産に対する意識の変化が挙げられます。
結婚・出産を「必ずしなければならないもの」から「人生の選択のひとつ」として捉える人が増えてきているのです。
価値観が多様化し、生き方の選択肢が増えているため、未婚化や晩婚化が進んでいると言われています。
二つ目に、経済的な要因が挙げられます。
非正規雇用などで経済的な不安を抱えている若者はまだまだ多く、結婚や子供を産むことを諦めざるを得ないと感じる人が増えています。
子育てにはお金がかかるため、子育て費用や教育費への不安も少子化の要因と言えるでしょう。
三つ目に、子育てと仕事の両立が難しいことが挙げられます。
1980年代から働く女性が増加していますが、仕事と子育てを両立できる環境はまだまだ整っておらず、女性への負担が大きいことが晩婚化・晩産化につながっていると言われています。
「母親が働いている子育て世帯」は75.9%と過去最高の数字に
厚生労働省「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況」によると、「子どもがいる世帯で母親が働いている世帯」は75.9%と過去最高の数値となったそうです。
18歳未満の子供を持つお母さんの4人に3人が働きに出ているということです。
この結果をどう捉えるかは議論の余地があるよう。
ネット上では「子育てをしながら社会復帰ができる女性が増えた、男女平等社会にまた一歩近づいたという嬉しいニュースにも聞こえるし、子どもが小さいうちから働きに戻らないと経済的に厳しい家庭が増えたという悲しいニュースにも聞こえる。」といった声もありました。
どのような理由で働きに出ているかは人それぞれ異なると思いますが、ネット上の声をのぞいてみた印象としては後者の理由も多いように感じられました。
まとめ
子供を持つか持たないかに正解・不正解はなく、人それぞれ異なる背景や多様な価値観を持っていることは理解しておかねばなりませんが、割合の少なさがそのまま声の大きさに反映してしまう可能性があることは否めません。
この先もし子育て世帯が減少し、社会全体から見て少数派、すなわちマイノリティになってしまったら、子育て世帯の声が社会に反映しにくくなるかもしれません。
公園や保育施設へのクレーム、電車やお店の中で肩身の狭い思いをしているママのエピソードが増えているのもその一つではないでしょうか。
最近では子供の泣き声がうるさいと隣人が苦情を入れてくるなどといったトラブルも増えているそうで、一昔前と比べると子育てしている家庭への理解や寛容さが失われつつあるのかもしれません。
その背景には地域社会のつながりが薄れつつあることや、核家族が増えていることなども挙げられるでしょう。
子育て世帯が全体の半数ほどを占めている時代には、地域のみんなで子育てをするという一体感があったといいます。
子なし夫婦も全世帯から見て少数派であるのが現状なので、マイノリティとしての生きづらさをすでに実感しているというDINKs夫婦の方も多いことと思います。
どのような人生を選ぶかは人それぞれですし、夫婦ごとに考え方は異なりますが、同じ社会を構成する一員として支え合っていける、そんな時代を築いていきたいものですね。
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