「機能不全家族」という言葉をご存知でしょうか。
「機能不全家族」とはストレスが日常的に存在している家族状態のことで、主に親から子どもへの虐待やネグレクト(育児放棄)、子どもに対する過剰な期待など、様々な要因で家庭がうまくいっていない状態を指します。
機能不全家族で育った大人は「アダルトチルドレン」と呼ばれる、生きにくさを抱える大人になることも多いと言われています。
健全な家庭像を見て育っていないために子育てに苦労することも多く、「子育てに向いていないんじゃないか」と感じることもあるそうです。
そこで今回は、機能不全家族とは何か。また、機能不全家族で育った人は子育てに向いていないのか、についてお話ししたいと思います。
「機能不全家族」とは?
「機能不全家族」とは、本来家庭に存在すべき機能が健全に機能していない家族状態を意味します。
機能不全家族の具体的な要因は、
- 家族同士の不仲
- 夫婦の対立
- 親のアルコール依存
- 経済的貧困
- 虐待
- 暴力
- ネグレクト(育児放棄)
- 親から子への依存、共依存
- 過干渉、子どもに対する過剰な期待
- 不干渉、子どもに関心がない
- 兄弟や他の子供と比較される
などが挙げられます。
特に、家庭内で弱い立場にある人(子供や高齢者)に対して、身体的または精神的ダメージを与える機会が日常的に存在している家族状態を指すことが多いです。
機能不全家族で育つとどうなる?
機能不全家族の中では、子どもが子どもらしく生きることができなくなります。
機能不全家族で育った人は正常な成長過程を辿ることができず、大人になってから「生きづらい」と感じてしまう傾向があります。
機能不全家族で育った大人の特徴には以下のようなものが挙げられます。
- 自分に自信が持てない
- 常に人の目を気にしてしまう
- 他者の評価や称賛を必要としてしまう
- 傷つきやすい
- 孤独感や疎外感を感じやすい
- 感情の起伏が激しい
- 自己表現が苦手
機能不全家族の中で育った人は、親の機嫌を伺う習慣が身についてしまったり、嫌われたくないという思いから、親や人に甘えたり、自分の内面をさらけ出すことができなくなってしまうといった特徴があります。
人との接し方や距離感がわからず、必要な時に頼ることができなかったり、必要以上に自己犠牲を払ってしまうという傾向も。
職場での人間関係がうまくいかない、異性との付き合いでつまづいてしまうというケースもあるようです。
機能不全家族で育った人は子育てに向いていないのか?
子供を持つかどうか悩んでいる人の中には、「機能不全家族」で育った自身の生い立ちが原因の方もいらっしゃると思います。
小さい頃に温かい家庭で育たなかった経験から、「自分が家族を作ってもうまくいかないのではないか」「親と同じ過ちを繰り返してしまうのではないか」と不安になることが多いようです。
また、機能不全家族で育った人は先ほど述べたような特徴を持つ人が多く、子育てに対しても「できないと責められているように感じる」「人の子育てと比較してしまう」「人に頼れず一人で抱え込んでしまう」といった負の感情に囚われてしまいやすいそうです。
また、子育てをすると様々な壁にぶつかることがありますが、その時「自分がどのように育てられたか」を振り返り、自分の過去の経験を子育てのヒントにしようとする傾向があるそうです。
子供の頃に温かい家庭で育った経験がない人は、どのように子供に向き合えばいいのか、どうしたら親がしたことを繰り返さないのか、わからなくなってしまうこともあると思います。
ですが「あの時こうして欲しかった」「あんなことを言わないで欲しかった」など、自分の過去の経験を活かして「自分が子供の頃にして欲しかったように行動しよう」と前向きに切り替えることもできます。
親の子育てを反面教師とするわけですね。
機能不全家族で育った人は、子育てに苦労する部分もあると言えますが、克服することもできるというのが一つの答えでしょうか。
なので、機能不全家族で育ったからといって子育てに向いていないとは一概に言えないかもしれません。
機能不全家族で育った人は「DINKs」になりやすい?
機能不全家族の家庭で育ち、自己肯定感が低く、自分に自信が持てぬまま大人になった人は、「子供を産んで育てる」ことへのハードルを高く感じ、DINKsとして生きる道を選ぶ人も少なくありません。
単純なイコールでは結びつけられない部分もありますが、「機能不全家族のもとに生まれ、親の愛を知らずに育った。自分は子育てをしないと決めた」と自身の経験をもとにDINKsの道を選ぶ人もいます。
ネット上でもそういった声が多く聞かれますね。
「育てられる自信がない」「温かい家族像を思い描けない」とわかっていて、子育てを強く望んでいないにも関わらず子供を持ってしまうと、それこそ虐待や育児放棄にもつながりかねません。
子育てをする・しないは自分一人で決められることではなく、パートナーの理解も必要なことではありますが、自身の生い立ちを一度振り返り、自分が子育てに対してどのような意思を持っているのか、話し合ってみるといいかもしれませんね。
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