「DINKs」と検索すると続けて「ずるい」というワードが筆頭に出てくることをご存知でしょうか?
実は「DINKs ずるい」というワードは月間で2400件ほど検索されています。
DINKsをずるいと感じている人が多いことの表れなのでしょうか。
実際にDINKsという生き方を決めて生活している人も、子育てをしている家庭や子供を持つべきと考えている人々からネガティブな印象を持たれているかも…と不安になったことが一度はあるのではないでしょうか。
しかしなぜ「DINKsはずるい」といったネガティブな感情を持たれてしまうのか。
今回はその実態を調査してみました。
本記事を読めば、DINKs当事者の方の不安がほぐれ、DINKsをずるいと感じてしまっている人も本心が見えてきて楽になれるかもしれません。
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そもそも「DINKs(ディンクス)」って何ぞや?
「DINKs(ディンクス)」という言葉は近年徐々に普及しつつある表現ではありますが、意味を知らないという方もまだまだ多いことと思います。
DINKsとは「Double Income No Kids」の頭文字を取った言葉で、直訳すると「2つの収入・子供なし」という意味です。
つまり「夫婦共働きで子どもがいない世帯」のことを表しているわけですね。
DINKsは意識的に子どもを持たない選択をした人やその価値観を指すため、結婚してまだ日が浅いために子供がいない夫婦や、不妊などの事情により子供を持つことが出来ない夫婦などは基本的にDINKsには含まれません。
この意味を考慮すると「DINKs」は「子どもを意識的に持たない共働きの夫婦」と言い換えることができます。
「DINKs」のことを「Dinky」と表現することもあります。
「子なし夫婦」や「チャイルドフリー」なども同義です。
DINKsがずるいと言われる理由
共働きの子なし夫婦であるDINKs。
DINKsが「ずるい」と言われてしまう理由はいったいどこにあるのでしょうか。
DINKsがずるいと言われる理由をネット上の声から考察してみましたが、これはDINKsのメリットと表裏一体と言っても過言ではないようです。
※ここからは筆者独自の見解ではなくネット上の声をまとめたものです※
DINKsがずるいと言われる理由①時間的な余裕がある
子供がいないDINKs夫婦は自由な時間が比較的多いです。
仕事や家事をしていない時間は全てフリー。
二人で過ごすもよし、一人の時間を楽しむもよし。
時間が潤沢にあり、趣味の時間もお出かけの時間もたくさん持てるのはDINKsのメリットであり、時間がなかなかなく忙しく過ごしている子育て夫婦から見ると「ずるい」と感じる要因なのかもしれません。
DINKsがずるいと言われる理由②経済的な余裕がある
DINKsはその呼称に由来する通り「double income」つまり夫婦2人とも収入がある家庭です。
その上子供もいないので養育費や教育費がかからない分、子育て世帯よりも自由に使えるお金が多いです。
一般的に1人の子供を大学卒業まで育てると2,000〜3,000万円以上のお金がかかると言われています。
かかる教育費だけ考えても子供がいる夫婦といない夫婦では約20年間で2,000〜3,000万円も自由に使えるお金に差が生まれるわけです。
収入は二馬力、子育ての費用はかからない、そのため生活水準が高い夫婦もいるようです。
子育て夫婦から見ると「DINKsは子供も産まずに自分達だけでいい生活をしている」「贅沢な暮らしをしている」。
それを「ずるい」と感じる人もいるかもしれません。
DINKsがずるいと言われる理由③キャリア形成している女性が多い
結婚をし、子供が生まれると多くの場合女性が仕事を辞めて家庭に従事します。
男女平等社会が謳われ、男性が育休を取ることも昔に比べれば多くなりましたが、やはり女性がキャリアを途中で諦める形になることがまだまだ多いのが現実でしょう。
もちろん産休・育休後に仕事に復帰してバリバリとキャリアを築き上げている女性もいますが、復職後メインのプロジェクトから外れてしまう、幼稚園のお迎えなどがあり時短で働くために社員ではなくパートという形で復帰するというケースも多いですよね。
そうした女性たちからすれば、子なし夫婦の妻は出産・育児がないのでキャリアを中断することなく着々と積み上げていき、成功しているように見え「ずるい」と感じるのかもしれません。
DINKsがずるいと言われる理由④煩わしい人付き合いから逃れている
子育てをしていると子供を通じた近所付き合いやママ友付き合いが増えます。
もちろんそうしたきっかけでいいご縁に出会い、大人になってからいい友達ができるというメリットもなくはありません。
しかし大半が「家が近い」「通わせている幼稚園や学校が同じ」「子供同士が仲良くなった」といった理由から出会う人間関係ですので、もし親同士の相性が合わなくてもうまく付き合っていかなくてはなりません。
義務教育を終え、大人になって自分で自分の交友関係を構築できるようになったものの、再び自分で選択できないコミュニティに巻き込まれ、最悪の場合はママ友いじめに遭ったりする。
こうした子育てに関わる人付き合いの悩みは子育てしている夫婦からもよく上がりますが、DINKs夫婦はママ友付き合いの煩わしさなどはないと言えます。
もちろん仕事やそのほかにも人間関係は生じますし、皆それぞれ大変なこともあると思われますが、今置かれている人間関係への不満から「DINKsはずるい」と感じる人も中にはいるかもしれません。
DINKsがずるいと言われる理由⑤子供がいるといけない場所にいける
DINKs夫婦は基本的に好きな時にどこにでもいけます。
自分たちの価値観に合った場所に好きな時、好きなように行くことができます。
お出かけ先や旅行も自分たち目線で計画できます。
外食も自分たちの好きなものを選べますし、お酒が好きであれば2軒目、3軒目と居酒屋をはしごすることも。
友人との飲み会にも気兼ねなく参加できるでしょう。
しかし子育て中だとなかなかそうもいきません。
おしゃれなフレンチやレストランは、そもそも子連れでの入店ができない、ということも。
実家や友人に子供を預けることができる環境であれば、たまに記念日に二人でゆっくりディナーを楽しむといった時間も持てるかもしれませんが、普段は外食のお店や出かける場所は子供目線で選択していることが多いと思います。
DINKs夫婦が2人で出かけて楽しんでいる様子や気兼ねなくお酒を飲んでいるところ、好きな時に夫婦水いらずで旅行に行っている様子などを見ると、子供を中心に日々を過ごしている子育て夫婦からみて「ずるい」と感じないとは言い切れないのかもしれません。
DINKsがずるいと言われる理由⑥子供にまつわる問題が起きない
子なし夫婦は子供にまつわるトラブルが起きません。
子育てをしていると、子供のケガや病気の心配、いじめ問題、教育や進路について、最悪の場合子供が犯罪を犯すリスクや犯罪に巻き込まれるリスクも生じます。
もちろんそういった問題も含めて乗り越えていくのが子育てと考えている人も多いはずですが、実際にそうした問題に直面したとき、子育てをしていない夫婦を見て「ずるい」と思ってしまう人もいるかもしれません。
DINKsがずるいと言われる理由⑦若々しい人が多い
子育てをすると老けるというわけでは決してありませんが、心配事も少なからずあり、あれこれと日々子供のことで忙しくされている親御さんが「自分自身のメンテナンスは二の次になっている」と言う声がネット上で散見されました。
化粧をする時間がない、おしゃれをする余裕がない、そもそもそんな気力も起きない…となかなか自分自身に時間をかけることができなくなったと感じている人も少なくないようです。
DINKs夫婦は自分達にかけるお金も時間もあり、美容に力を入れたりおしゃれを楽しんでいる人もいます。自分磨きをして生き生きとしているイメージがあるのでしょう。
DINKsを「ずるい」と言う人の心理は?
「DINKsはずるい」と言われてしまう理由は上記のようなものが挙げられました。
(ネット上の意見をもとに考察していますので、あくまでも「そういう人もいるようだ」といったところで、大多数がそう思っているとは断言できませんが)
最近はSNSやYouTubeなどを通じて他人の生活ぶりが垣間見える機会も増えましたので、「私たちはこんなに大変な思いをしているのにDINKs夫婦はずるい!」という感情が芽生えてしまうケースもあるかもしれません。
しかし子育てをしている夫婦のほとんどは自分達が子どもを欲しくて授かったはず、それなのにDINKsを「ずるい」と言うのは矛盾している、という声も見られました。
「子供を育てる決断をしたのは自分達なのになぜわざわざ子なし夫婦を批判するのか」といった疑問も多く目にしました。
DINKsをずるいと言う人の心理は一体何なのでしょう。
意見は人それぞれであり、正解と呼べるものはありませんが、誰しも「自分が選ばなかった方の人生はどうだっただろうと頭によぎる瞬間がある」からではないでしょうか。
「子供を産まなければよかった」などと断言する親はきっといないでしょう。
しかし、親も人間です。
辛いことが起きたり苦しいときが続いて心が弱っている時、ふと横目で子供がいない夫婦を見て、「子供を産まない人生はどうだっただろう」と考えてしまう弱さは誰にでもあると思います。
子供のことで手一杯になっていて大変な時期に、子供がいない夫婦が充実した生活を送っているように感じたら、そう思うこともあるかもしれないですね。
子供を産む・産まないという選択は後からひっくり返せるものではありません。
子供がいる夫婦がDINKs夫婦のことをうらやましいと感じたとしても、これから自分がなることはできません。
そうした感情も合わさって、自分がもう選べない生き方をしている人たちに対して批判的な言葉に変わってしまうことがあるのだと思います。
ですが、それは逆も然りです。
子供がいる人生には幸せな瞬間がたくさんあります。
子どもが宝田、子育てを通じて人間的に成長した、という人もたくさんいます。
逆にDINKs夫婦が子育て夫婦を見て「素敵だな」「子供がいる人生も幸せそうだな」と羨ましく思う瞬間もあるでしょう。
子供がいない夫婦からすればふとした時に子供がいる夫婦を羨ましく感じる瞬間があり、逆もまた、ある。
要するに、隣の芝は青いんですね。
子育てをされている夫婦も子供がいない夫婦もそれぞれの人生が広がっていて、大変なこと、苦しいこともあれば、楽しいことや幸せなことがあります。
自分が選ばなかった世界線に対して何かを思うことは互いにあることと思いますが、それぞれの生き方を尊重し、「ずるい」ではなく「いいね」と思えるように生きていきたいですね。